2007年12月アーカイブ
あがり症にとって、一番の敵は緊張……本当にそうでしょうか?
人前でなにかをするとき、初対面の人と会うとき、そのほかさまざまな場面で適度な緊張はプラスに働きます。
逆に、緊張感に欠いて失敗してしまうことだってあります。
一度でも失敗してしまって不安がふくれあがり、雪だるま式に失敗を繰り返すのがあがり症の典型。
よくよく考えてみれば、その根源は緊張感のなさだった、なんてこともあるのです。
とある辞書によると、緊張とは心や体が引き締まること。
この状態があがり症にとって敵であるはずがありません。
あがり症さんは少しでも緊張を感じると、そこから逃れようと必要以上にあがいてしまいます。
あわてることはありません。「適度な緊張だ」と思えばいいのです。
一つ、いい言葉を教えましょう。
「ユーストレス」、聞いたことがありますか?
ユーストレスとは、適度な緊張をもたらす、良いストレスのこと。
人前であがり症が顔を出したとき、「これはユーストレスだ」と考えるようにしてください。
「適度な緊張」よりもなんとなくカッコよく、使いやすい言葉だと思いませんか?
緊張はあがり症の敵ではありません。
手ごわいものであるからこそ、味方につければ大きな力となってくれるのです。
社会に出たあがり症さんにとって、もっとも厄介なのがスピーチ。
宿題の発表や企画のプレゼンよりも自由度が高いため、あがり症以前のところでつまづいてしまう人が多いのです。
そこで、あがり症さんにごく簡単なスピーチのコツをお教えします。
まず、長くしすぎないこと!結婚式だろうと、忘年会だろうと、長すぎるスピーチは嫌われます。
え?あがり症と関係ないんじゃないかって?そんなことありませんよ。
あがり症さんは、逆にスピーチが長くなりがち。
「あがり症の私が苦手なスピーチのためにこんなにがんばったんだ」というのが、なぜかうっすらと出てしまうからです。
よほどおもしろい話でもしない限り、聞く側が耐えられるのは5分だと思いましょう。
内容さえ伴っていれば、短すぎてもひんしゅくを買うことはありません。
次に、スピーチを目的にしないこと。
スピーチを無事終わらせることを目的にしてしまうと、「あがり症の私が苦手なスピーチのために……」となってしまいます。
スピーチそのものが目的なのではなく、スピーチによってなにを伝えるのかが真の目的です。
これを見誤らなければ、退屈で仕方ない、「スピーチのためのスピーチ」にはならないで済むと思います。
あがり症さんは、子供のころ作文が苦手だった人が多いのではないでしょうか。
子供のころの作文といえばあがり症の天敵、「発表」がつきものですから。
発表がイヤですっかり作文が嫌いになってしまったあがり症さんは、
スピーチの原稿を書く時点でどうしたらいいのかわからなくなってしまうかもしれません。
原稿を書くコツは、わかりやすくすること。
スピーチとは最終的に口頭で伝えるものなので、素晴らしい文章を書くことにそれほど大きな意味はありません。
最後は自分が読むのだということを忘れずに、自分が口にしてもおかしくない言葉で書きましょう。
あまり難しい言葉やカッコつけた文章は、あがり症にとっては足を引っ張るものとなります。
例えば結婚式のスピーチなら、新郎、または新婦へ手紙を書くつもりで書いてみましょう。
親しい人の顔を思い浮かべて書けば、そのスピーチはおのずと心のこもったものになります。
どこかから借りてきたお仕着せのものよりもずっと、聞いている人の胸に響くはずです。
あがり症のあなたがスピーチするのですから、上手なものよりも、温かいものを目指しましょう。
いっそのこと、スピーチそのものを手紙スタイルにするのも◎。
これならあがり症のおかげで原稿を忘れてしまっても、手元の手紙を読めばいいのですから問題ありません。
心構えも、原稿もばっちり。この時点で、スピーチは8割成功です。準備不足であがり症が顔を出すことはまずありません。
それでもやっぱり、当日は緊張してしまうことでしょう。本番直前までは、自己暗示やおまじないにいそしんでください。
というか、事前の準備が万端なら、それくらいしかやることがないはずです。
そして、スピーチが始まる瞬間。
どうしても成功させたいのなら、俳優になりましょう。
「私はあがり症などではない。スピーチなんて朝飯前だ」、これくらい強気に思い込みましょう。
スピーチが頭にすべて入っているのなら、多少大げさに、身振り手振りを交えて話すとより効果的。
アメリカ大統領を演じるハリウッド俳優のようですが、これをあなたが演じるのです。
これが成功すれば、あなたがあがり症だと気づく人は誰もいないはずです。
多少失敗しても背伸びせずにやりたいのなら、あがり症をカミングアウトしましょう。
「私はあがり症です」と、スピーチの冒頭で言ってしまうのです。
ここで大切なのは、「私はあがり症だから許してね」ではなく、
「私はあがり症だけどがんばります」と聞いている人に思わせること。
前者でも時と場合によっては笑って済ませられますが、後者の方がシーンを選ばずに聞いている人を味方にできます。
あがり症さんにとって、人生最初の関門は面接ではないでしょうか。
入学試験、夢をかなえるためのオーディション、入社試験、
そのどれもが人生の一大事にかかわってくるのですから、あがり症さんにとっては辛い試練となってしまいます。
ですが、面接もこれまでのあがり症対策を応用すればまったく問題はありません。
どんな面接も履歴書やエントリーシートをもとにして行われることがほとんどなので、丁寧に、誠実に書くよう心がけましょう。
書類に嘘を書いても、面接で絶対にぼろが出ます。これはあがり症以前の問題です。
質疑応答のシミュレーションは最低限やっておきましょう。
ただし、面接官とは意地悪なもの。絶対に、想定外の質問を一つや二つしてきます。
すぐに答えられなかったからといって即不合格とは限らないので、あがり症なりに落ち着いて答える努力をしましょう。
当日の身だしなみも大切。
あがり症とはふとしたところから顔を出してくるものです。
シャツのちょっとした汚れが気になって、頭の中が真っ白になることだってあるのですから。
また、面接官はこれまでに何人、何十人ものあがり症を見てきています。
いまさらあなたがあがり症だからといって特別驚くことはないのです。気楽にいきましょう。
これまで、あがり症さん、あがり症さん、と呼びかけ続けてきました。
なにがなんでもあがり症を克服したいという人には、この「あがり症さん」はカンにさわったかもしれません。
もしそうなら、めいっぱい腹を立ててあがり症克服のエネルギーにしてください。
今に見ていろと目の仇にして、見事あがり症を克服してください。
あがり症は絶対に治さなければいけないものではありません。
放っておいても死にませんし、それほど人に迷惑もかけません。
あなたのあがり症で困るのは、あなただけです。
そこで克服しようと立ち上がるのはもちろんすばらしいこと。
しかし、それができないからといって、ダメだということではありません。
あがり症を抱えたまま、あがり症として生きていくのも一つの選択肢です。
顔が赤いままスピーチをしてもいいじゃないですか。
手に汗びっしょりかきながらプレゼンしてもいいじゃないですか。
少なくともこう思えるようになれば、あなたの気持ちはいくらか楽になるはずです。
もちろん、あがり症であることを利用し、言い訳をして生きるのはダメなあがり症です。
しかし自らあがり症であることを認め、時には立ち向かい、時には心が折れるのは、とても人間らしい姿だと私は思います。
うれしはずかし初デートも、あがり症さんにとっては頭の痛いイベント。
ただでさえあがり症なのに、憧れのあの人と初めてのデートなんて、あがらないわけがありません。
顔が赤くなったらどうしよう。
手をつないだときに汗をかいたらどうしよう。
食事中にトイレに行きたくなったらどうしよう。
どうしてもこんなことばかり考えてしまいますよね。
そんなあがり症さんのために、ちょっとした発想の転換法を教えましょう。
相手の顔が赤かったらどうしますか?
相手の手が汗をかいていたらどうしますか?
相手が食事中にトイレに行ったらどうしますか?
どうもしませんよね。むしろ、少し嬉しいのではないでしょうか。
ひょっとして、憧れのあの人もあがり症かもしれませんよ。
デート中に顔が赤くなったり、なにかへまをしたなと思ったら、素直に「緊張してる」と言いましょう。
本当に相手のことが好きならなおさら。
あがり症であることを隠してつき合っていくなんて苦痛でしかありませんよね。
それに、あがり症くらいで嫌われることなんてありません。
もし初デート以来連絡がないのなら、ほぼ100%あがり症以外に原因があります。
なんでもかんでもあがり症のせいにしていては、なにをやってもうまくいかなくなってしまいますよ。
あがり症になりやすい人は、真面目な性格であることが多いもの。
では、不真面目な人はあがり症になりにくいのでしょうか?
これはズバリ、YES!です。
そもそも、失敗や恥を恐れて緊張するのがあがり症。不真面目な人は多少の失敗や恥などものともしません。
結果、どんな局面でもさほど緊張もせず、あがり症にもなりにくいのです。
不真面目と言ってしまうと言葉が悪いですが、あくまで真面目すぎるあがり症さんと比べての話ですよ。
あがらない不真面目なあなた、お気を悪くなさらないように……。
もう一つ、プライドが高い人もあがり症にはなりにくいです。
「あれ、さっきと逆のこと言ってない?」
そう思ったあなた、実に鋭い。
確かに、別のページでは『プライドが高い人はあがり症になりやすい』と言ってます。
ですがこれは、程度の問題。
本当に、心の底から、神に誓ってもプライドが高い人というのは、あがり症そのものを自分で抑え込んでしまいます。
だってそうでしょう?
プライドの高い人にとって、あがってしまって失敗するなんてことは、死ぬより辛いことでしょうから。
足の小指をぶつけても、痛くないふりをするのと同じです。
本当はあがり症でも、そんな素振りをまったく見せない人もいるのです。
あなたはあがり症ですか?こう道行く人に問えば、ほぼ100%「はい」という答えが返ってくると思います。
それだけ日本人にはあがり症が、または自分があがり症だと思っている人が多いのです。
軽度のあがり症なら、それほど問題はありません。それも愛嬌というものです。
では、あがり症が悪化してしまったらどうなるのでしょうか。
あがり症は、負の連鎖を起こしやすいもの。
人前で少し緊張する程度で自分はあがり症だと思い込む。
↓
失敗を恐れる気持ちが強くなって本当にあがり症になってしまう。
↓
前回の失敗を忘れられず、また失敗したらという思いがよりあがらせる。
↓
もう何をしてもあがる。自分ではどうにもできなくなる。
といった具合です。
ここまで症状が悪化しても、なにせあがり症ですから誰かに相談することができません。
「こんなことを相談して変な奴だと思われたらどうしよう」と考えてしまいます。
あまりにもひどい症状に病院に行くことも考えますが、自分の異常性を認めるような気がしてできません。
そしてますます、あがり症は悪化していきます。
ただの“緊張しい”が、重度の対人恐怖症へまっしぐらです。